テクスチャーアートとは?Mamiko Okuboインタビュー|メディウムとアクリルで描く抽象表現の魅力

Mamiko Okuboさんの作品を見ていると、
なぜか言葉にならない感覚が、ふっと胸の奥に広がる瞬間があります。
やわらかな光や、重なり合う色。
そこにあるのは、形ではなく“体感”のようなもの。
今回は、作品「陽だまりの記憶」に込めた想いとともに、
テクスチャーアートの魅力や制作背景についてお話を伺いました。
Mamiko Okubo プロフィール
東京を拠点に活動する抽象画アーティスト。
2021年より、アクリル絵具を用いた抽象画の制作を本格的に開始。
2023年からは国内外の展覧会に出品し、作品の販売も行っている。
これまでに、個人邸宅やモデルルーム、オフィス、映画撮影用作品などへの納品実績を持つ。
季節の移ろいや自然現象、日常の中でふと感じる感覚や心の動きをモチーフに、
色彩だけでなく、テクスチャーや流れといった要素を大切に制作している。
繊細さと大胆さが同居する中で、静かに調和する抽象表現を探り続けている。
作品コンセプト|「陽だまりの記憶」

この作品には、太陽のあたたかな光と、
生命力あふれる花たちが、そっと語りかけてくるようなエネルギーが込められています。
テクスチャーを重ねることで生まれる色の深み。
その中で色同士がやさしく混ざり合い、どこか対話しているような空気が流れています。
「陽だまり」という言葉のように、
誰の中にもある、ほっとできる場所や記憶。
そんな感覚を思い出させてくれる作品です。
テクスチャーアートの魅力と制作の工夫
今回の作品では、ペインティングナイフやスポンジを使いながら、
少しずつ色を重ねていくことで、画面に奥行きとエネルギーを与えています。
特に印象的なのは、色と色が重なったときに生まれる、
“偶然のようで必然”なニュアンス。
厚みのバランスはとても繊細で、
途中でやすりを使いながら整えていく工程もあったそうです。
そうして仕上がった表面には、
静かなのに、どこか内側から満ちてくるような質感が宿っています。

使用しているメディウムとアクリル絵具
下地にはリキテックスのジェッソを使用。
メディウムはホルベインのマットメディウムをほんの少し加える程度で、
アクリル絵具そのものの質感を大切にされています。
今回の作品では、
- デコアート(エクストリームシーン)
- リキテックス
- アムステルダム
- ターナー
といった複数のアクリル絵具を組み合わせて制作されています。
メディウムについて詳しく知りたい方は
「メディウムとは?種類・役割・使い方」の記事も参考にしてみてください。


絵を描き始めたきっかけ
少し長くなりますが、絵を描くようになったきっかけは、コロナ禍が始まった頃に私自身の病気が見つかり、治療に専念することになったことでした。
それまでは金融業界で長年バリバリと働いていましたが、療養中に生き方を見つめ直す時間を持つことになりました。
ステイホームが続く中で、自然に触れる機会を強く求めていたのだと思います。花の彩りや、刻々と変わる空の様子など、自然が常に動き続けていることに気づくたび、「今を生きている」という感覚を得ていたように思います。
もともとアート鑑賞は好きだったのですが、その頃はInstagramやYouTubeでアート制作の動画をよく観ていて、「私も描いてみたい」と思うようになりました。
最初はひたすら花を描いていて、創作の楽しさや、表現することで満たされる感覚に夢中になりました。
半抽象的な描き方を好みながらも、花の個性を引き出す構図にこだわっていたのを覚えています。描き続けるうちに、自然からインスピレーションを受けた抽象表現の面白さに惹かれていくようになり、今に至ります。
旅の記憶と作品の関係
ヨーロッパや中東を7ヶ月ほど14カ国の旅をしたことがあります。見たことのない景色や、想像を超える体験が多く、どこが一番とは言い難いのですが・・・。今はなかなか訪れるのが難しいということもあり、中東地域は特に心に残っています。
ヨルダンのペトラや、シリアの(内戦で破壊されてしまった)パルミラ遺跡などは、壮大かつ時空を超えたスピリチュアルな地でした。砂漠と青空、乾いた空気など、五感で感じたあの時の感覚は今でも鮮明に思い出されます。実際に、ペトラ(『ペトラ~砂漠のピンクシティ』)や、エジプトのルクソール(『ナイルを渡る風』)から着想を得た作品もあります。
旅、特に異国で感じた独特のエネルギーは、私にとって「枠から解き放たれる」感覚であり、オリジナリティを表現するうえで、背中を押してくれる存在だと感じています。
大久保様の作品を見ていると、不思議な心地よさがあり、最後には心の奥がじんわりと温かくなるのを感じます。独特で深い感情が溢れています!
そのように感じていただけたこと、本当にうれしく思います。
私は、作品を通して見る方と深い部分で共鳴が起きたら——
そんな想いで描いています。
とはいえ、狙ってそういうものが描けるわけではなくて。私の場合は、自分自身の体感をできるだけそのまま、飾らずにキャンバスにのせるようにしています。
それが自然に湧き上がってくるときもあれば、うまく形にできず、生みの苦しみをとことん味わうときもあります。けれどその過程も含めて、すごく正直な営みだなと感じています。
私が表現したいのは、誰しも備わっている「体感」です。
たとえば、風が通り過ぎたときのすっとする感じや、夕暮れの空を見たときにふと心がゆるむ瞬間——そんな何気ない感覚の中に、人の琴線にふれるような静かな感情が潜んでいる気がしています。
私たち人間も自然界の一部として生きていて、日々の感覚や感情も、すべて自然のリズムの中にあると思っています。
だからこそ、創作を通してそのリズムにできるだけ忠実でありたい。
その静かな波のようなものが、見る人にも伝わっていたのだとしたら、とても幸せなことです。

絵を描くこととは
私にとって絵を描くこと、創作することは、「自分を信じる」というプロセスそのものです。



私は、「やりたいと思ったことは、いつからでも始めていい」と考えています。年齢やタイミングに縛られる必要はない。
その思いが、自分の創作における自由さにもつながっています。
描くという行為は、自分に嘘をつかず、本質的な姿勢で向き合うこと。だからこそ、作品を通して「自分とつながっている」と感じられる時間でもあります。
MamikoOkuboさん作品

「陽だまりの記憶」MamikoOkubo オンラインストアにて購入できます。
今回使用した素材・絵具

作品の土台となる、上質なウッドパネル
木のぬくもりを感じる、シンプルで美しい木製パネル。
アクリル絵の具はもちろん、メディウムを使った立体表現やミクストメディアにも最適です。
キャンバスとは異なる、なめらかで安定した描き心地。
作品をより引き立てる“静かな存在感”が魅力です。
表面がフラットでなめらかなので、初心者の方にも安心してお使いいただける木製パネルです。
20x20x2cm

特許出願中の反射技術により、顔料粒子を整列させてより多くの光を反射し、きらきらとした光沢を表現できます。
そのため、超微細反射顔料から均一で耐久性の高い金属ような光沢が得られます。
木材だけでなく、キャンバス・壁・紙・素焼き陶器・布などさまざまな素材に描くことができますが、屋外で使用するものには適しません。

特許出願中の反射技術により、顔料粒子を整列させてより多くの光を反射し、きらきらとした光沢を表現できます。
そのため、超微細反射顔料から均一で耐久性の高い金属ような光沢が得られます。
木材だけでなく、キャンバス・壁・紙・素焼き陶器・布などさまざまな素材に描くことができますが、屋外で使用するものには適しません。
まとめ
Mamiko Okuboさんの作品は、
色や形というよりも、「感覚」に触れるような体験に近いものかもしれません。
テクスチャーと色彩が重なり合うことで生まれる奥行きは、
見る人それぞれの記憶や感情に、静かに寄り添ってくれます。
忙しい日常の中でふと立ち止まりたくなるような、
そんな余白を持った作品です。


