初心者でも比較的始めやすい水彩画ですが、「水彩絵の具の適切な塗り方は?」「水彩画の塗りを効率良く上達させるコツは?」などの疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
水彩画は、一般的な「絵の具を塗る」感覚とは少し異なり、紙の上に水を広げていくような感覚で描く画材です。そのため、塗っている実感がつかみにくく、つい色を濃くしすぎてしまうこともあります。
そこで今回は、水彩画の基本的な塗り方や失敗しない塗り方、表現力をアップできる手法・技法を解説します。水彩画特有の塗り方を知ることで、効率的にステップアップしていけるので、ぜひ参考にしてください。
水彩画(透明水彩)の基本的な塗り方・始め方
水彩画は、水と絵の具の量のバランスによって表現が大きく変わる画材です。水の量や絵の具の濃度をどう調整するのかで、同じ色でもまったく異なる仕上がりになります。
一度で濃く塗るよりも、何度も薄く塗り重ねながら深みを出すという感覚を最初に身につけることが大切です。水彩画を始めるときに意識すべき基本の塗り方は、以下の通りです。
水彩は「少しずつ薄く塗って重ねる」が基本
水彩画で最初に覚えるべき技法は「薄塗りを重ねる」ことです。最初は、ほぼ水と感じるくらい薄く塗るのがコツで、一度乾燥させてから重ねていくことで、色合いや濃淡を少しずつ調整できます。

水彩は重ねることはできても、塗った色を消して明るく戻すことが得意ではないため、一度濃く塗ってしまうと、後から修正するのが難しくなります。一度で完成させないという意識を持ち、じっくり時間をかけて進めていきましょう。
筆に付着した水分量を減らすと扱いやすくなる
水彩絵の具の仕上がりは、筆に含まれる水分量で変わります。水が多すぎると紙の上にドーム型の水滴が付着する可能性があります。その状態で、ほかの部分がまだ乾いていないと、色同士が紙の上で混ざってしまいます。
紙に必要以上の水分が付着しないようにするには、ティッシュや布を筆に当てて、水分を拭き取ってから塗るのがおすすめです。水分を調節することで扱いやすくなり、失敗しにくくなります。

ただし、チューブから出した絵の具に加える水が少なすぎると、水彩特有の淡い表現が出しにくくなります。そのため、「絵の具はしっかり水で溶く」「筆に絵の具を含ませた後、余分な水分を軽く拭き取ってから塗る」ことを意識すると、扱いやすくなります。
紙は水彩専用紙を使う
水彩をきれいに仕上げるには、紙選びも重要です。コピー用紙やスケッチブックは水を吸いやすいものが多く、塗った部分が波打つ・色が乗りにくい場合があります。
一方、水彩専用紙は水分を適度に保ちながら、にじみや重ね塗りに耐えられるように作られているため、色の広がりや重ね塗りをコントロールしやすいです。
水彩専用紙もさまざまありますが、高品質のコットンパルプ紙が使用されている紙を選ぶと、にじみや波打ちを抑えつつ、絵の具の発色を鮮やかに再現することができます。

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長期保存が可能な、スケッチブックタイプの水彩紙です。制作物を長期間飾ることができる点や、制作時間を長めにとっても最初に塗った色の発色が衰えない点がメリットです。
失敗を防げる水彩画の塗り手順・塗り方のコツ
水彩画をきれいに仕上げるには、塗る順番を意識して進めることが大切です。感覚だけで描き進めると、修正しにくいミスが起こりやすく、作品を最後まで描き切るモチベーションも下がってしまいます。ここからは、以下の3つのコツを紹介します。
最初は明るい色から塗る
水彩画は、明るい色に後から戻すことが難しいので、最初に明るい色や薄い色を塗り、後から濃い色や影の色を重ねていくのが基本です。

また、濃い色を先に塗ると、全体のバランスを調整しにくくなります。明るい部分を残しながら進めていき、色のバランスを見ながら丁寧に仕上げていきましょう。
広い面から細部へ進める
広い面から塗り始めると、作品全体の色の雰囲気を決めやすくなり、細部の着色にもまとまりが生まれます。
細かい描き込みは後回しにしたほうが修正しやすく、途中で気になる部分が出てきても手を加えやすい状態を保てます。
完全に乾いてから次を塗る
直前に置いた絵の具が乾いていない状態で、次を塗り進めると絵の具が混ざり合い、にじみやムラが生じます。乾燥を待つことで重ね塗りの効果も発揮され、色に深みが出てきます。
水彩画は時間をかけてじっくり仕上げる画材であることを前提に、乾燥の時間も制作の一部として捉えて進めていきましょう。
水彩画の表現をアップさせる塗り方・技法
水彩画は、基本の塗り方に加えて表現の幅を広げるさまざまな技法があります。ここからは、初心者でも取り入れやすく、仕上がりに変化を付けやすい代表的な5つの技法を紹介します。
平塗り:輪郭線に合わせて均一な色合いで塗る
平塗りは、決まった範囲を均一な色合いで塗りつぶす技法です。色ムラなく仕上げるには、筆に含ませる水分量と絵の具の濃度を塗り始めから終わりまで一定に保つ必要があります。
広い面を塗る際は、筆を一定方向に動かしながら、途中で止めずに塗り進めるのがムラを防ぐコツです。途中で乾きかけた部分に筆を戻すと色ムラが残りやすいので、塗り直したい場合は完全に乾いてから行いましょう。
また、輪郭線の内側をなぞるように筆を動かすと、形を崩さずきれいに仕上がります。

にじみ:薄い部分と濃い部分を表現する
にじみは、水彩画特有の柔らかい表現ができる技法です。水分を少し含ませた紙の上に絵の具を置くことで、自然な広がりが生まれます。紙の水分量によってにじみ方が変わるため、事前に濡らす量の調整が必要です。
濃い色を先に置いて周囲に水を広げると境界がぼやけた印象に、複数の色を近くに配置すれば自然に混ざり合って偶然性のある表現になります。空・雲・水面・花など、柔らかな質感を出したい場面にチャレンジしてください。

一色グラデーション:一色を水で伸ばす
一色グラデーションは、水の量を調整しながら明るさの変化を作る技法です。水を含ませた水彩絵の具を紙の上に置き、必要に応じて水を足しながら塗り広げていきます。この際、境目が出ないようになじませながら広げるのがコツです。
紙が乾ききる前に仕上げると色の移り変わりが滑らかになるため、素早く作業すると上手くいきやすいです。青空や立体の陰影などを表現したいときに、お試しください。

複数色グラデーション:複数の同系色で明暗を作る
複数色グラデーションは、色味の近い色を組み合わせて、豊かな色の移り変わりを表現する技法です。
暖色から寒色へ、あるいは濃い色から薄い色へと段階的に重ねながら、色の境界は軽くぼかして自然につなげていきましょう。紙が湿っている状態であれば色が自然と混ざり合うため、作業のタイミングも仕上がりに影響します。
夕焼けの空や花びらなど、色彩に奥行きを出したい場面で効果的です。

かすれ:水分を極限まで減らして絵の具をかすれさせる
かすれは、筆の水分をほぼ拭き取った状態で紙の表面をなぞる技法です。
紙の凹凸に絵の具が引っかかって独特のざらついた質感が生まれるため、力を入れすぎずなでる程度の力加減が大切です。
岩肌や木の幹など荒れた質感の表現に向いており、にじみやグラデーションと組み合わせると表現の幅がさらに広がります。
水彩がムラになる原因と対処法
水彩画の色ムラは初心者がつまずきやすいポイントのひとつですが、原因を知っておくことで防ぎやすくなります。
水分が多いと乾く過程で境目部分が濃くなる
水分を多めに使うのは、グラデーションやにじみを出したいときには有効ですが、扱いには注意が必要です。紙に乗せる水分量が多いと、水が意図しない方向に流れたり、乾いた後に境目だけが濃く残ったりします。
グラデーションやにじみを表現しない際は、塗る前に筆の水をしっかり切っておくことで改善できます。

乾く途中で触るとムラになる
半乾きの状態は、最もムラの出やすいタイミングです。次々に塗り進めたくなり、半乾きの状態で触りたくなってしまいますが、完全に乾くまで手を加えないことが最大の対処法です。
もしくは、塗った場所と離れている箇所を塗り進めるといった対処法もおすすめです。
濃く塗った場所に何度も重ねると濁る
重ね塗りを繰り返すと顔料が混ざりすぎて、色が濁る原因になります。修正したい気持ちはわかりますが、必要以上に重ねないことが大切です。どうしても直したい場合は、完全に乾いてから最小限にとどめましょう。
水彩の塗り方を上達させる練習方法
水彩画の上達に、特別なモチーフや道具は必要ありません。基本的な練習を積み重ねることが、着実な上達への近道です。失敗を避けることばかり意識するよりも、試行錯誤を重ねながら描く姿勢が大切です。
ここでは、すぐに実践できる練習方法を3つ紹介します。
単色でグラデーション練習をする
一色だけを使ったグラデーション練習は、手軽に始められる練習のひとつです。水の量だけで表現を変えるシンプルな練習ですが、水彩絵の具の特性を体感的に理解するのに役立ちます。
短時間でできる効果的な練習方法のため、毎日の練習にも取り入れやすいです。

簡単なモチーフから描く
複雑な題材は形を取ることに意識が向いてしまうものです。結果として失敗しやすくなるため、果物やコップなど形がシンプルなものから始めると、水彩の技術に集中して取り組めます。
描き切れたという感覚を大切にしながら、成功体験を積み重ねていきましょう。

失敗作も捨てずに見返す
うまくいかなかった作品も、捨てずに手元に残しておきましょう。見返すことで失敗した理由がわかり、次の練習に活かせます。
作品がたまってくると上達の過程も自分の目で確認でき、同じミスを繰り返しにくくなります。
水彩の塗り方は「薄い色の塗り重ね」が基本
水彩画で安定した仕上がりを目指すなら、薄塗りと乾燥を意識することが最も重要です。一度で完成させようとせず、薄く重ねながら仕上げていく姿勢が着実な上達につながります。
最初は思うように色が出なかったり、乾燥を待つ時間がもどかしく感じたりすることもあるかもしれません。独学でも基本的な手順を繰り返し実践していくことで、水分量の感覚や重ね方のコツが自然と身についてきます。
水彩絵の具は水分量によって幅広い表現ができるため、練習を重ねるなかで少しずつ感覚をつかんでいきましょう。

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